多変量分散分析 (MANOVA; Multivariate ANalysis Of VAriance)

多変量分散分析 (MANOVA) は、複数の連続変数(目的変数)に対して、カテゴリカル変数の各水準間で目的変数ベクトルの平均に差があるかを同時に検定する手法です。ANOVAの多変量拡張です。

解説

多変量分散分析とは

多変量分散分析 (Multivariate Analysis of Variance; MANOVA) は、複数の連続変数を目的変数として同時に扱い、カテゴリカル変数(群分け変数)の各水準間で、これらの目的変数の平均ベクトルに統計的に有意な差があるかを検定する手法です。

ANOVAが1つの目的変数の平均値を比較するのに対し、MANOVAは複数の目的変数を同時に考慮します。これにより、目的変数間の相関関係を活用した、より検出力の高い検定が可能になります。

主な用途:

  • 複数のアウトカム指標の同時評価(例: 身長・体重・BMIの群間比較)
  • 心理検査の複数下位尺度の群間比較
  • 実験研究における多次元的な処理効果の検定
  • 多重比較のインフレーション制御(複数のANOVAを行う代わりにMANOVAを実施)

本アプリでサポートする機能

機能 詳細 特徴
多変量検定 Pillai のトレースによる検定 最もロバストな検定統計量
単変量ANOVA 各目的変数ごとのANOVA 事後的な各変数の寄与度確認
効果量 η² (イータ二乗) 効果の大きさの定量化
交互作用 要因間の交互作用の検定 要因の組み合わせ効果の検出

多変量検定統計量

本アプリでは Pillai のトレース を使用します。Pillai のトレースは前提条件の逸脱に最もロバスト(頑健)であり、一般的な使用に推奨される検定統計量です。

参考: MANOVAの代表的な検定統計量は以下の4つです:

検定統計量 特徴 推奨場面
Pillai のトレース 最もロバスト。前提条件の逸脱に頑健 一般的な使用に推奨(本アプリで採用)
Wilks のλ 最も広く使われる。尤度比検定に基づく 古典的な報告に使用
Hotelling-Lawley のトレース 群間差が大きい場合に検出力が高い 効果が大きい場合
Roy の最大根 最も検出力が高いが、前提条件に敏感 1つの線形結合に差がある場合

データ要件と推奨事項

変数の要件

  • 目的変数: 連続変数 2つ以上
  • 説明変数: カテゴリカル変数のみ(連続変数は使用不可)

サンプルサイズの目安

分析の種類 最低限 推奨
基本MANOVA 各セルに目的変数数+1件以上 各セルに20件以上
複数要因 各セルに目的変数数×3件以上 各セルに目的変数数×10件以上

前提条件

  • 多変量正規性: 各群で目的変数が多変量正規分布に従うこと
  • 等分散共分散行列: 各群の分散共分散行列が等しいこと(Box's M検定)
  • 独立性: 各観測値が独立であること
  • 多重共線性の回避: 目的変数間に極端に高い相関がないこと

結果の解釈

解釈の手順

  1. まず多変量検定(Pillai等)の有意性を確認
  2. 多変量検定が有意な場合、単変量ANOVAで各目的変数の寄与を確認
  3. 効果量 (η²) でその大きさを評価

補足: 他の検定統計量について

Rでは他の検定統計量も利用可能です。Rスクリプトをコピーして R Studio 等で実行する場合は、以下の指針を参考にしてください:

  • 標本が小さい、前提条件に不安がある: Pillai のトレースを使用(本アプリの採用統計量)
  • 古典的な報告: Wilks のλ を使用
  • 効果が大きいと予想される: Hotelling-Lawley のトレースを使用

MANOVAとANOVAの使い分け

状況 推奨手法
目的変数が1つ ANOVA
目的変数が2つ以上で相関がある MANOVA
目的変数が2つ以上で独立 個別のANOVA(Bonferroni補正)

注意事項

  • 目的変数の選択: 理論的に関連のある変数群をまとめて分析してください。無関係な変数を含めると検出力が低下します
  • 目的変数の数: 目的変数が多すぎると検出力が低下します。サンプルサイズとのバランスを考慮してください
  • 単変量ANOVAとの関係: MANOVAが有意でない場合でも、個別の変数では差がある場合があります(逆も同様)
  • 事後比較: MANOVAが有意な場合の事後比較(どの群間に差があるか)は、別途分析が必要です
  • 目的変数間の相関: 目的変数間に適度な相関(0.2-0.6)がある場合にMANOVAが最も有効です

他の多変量解析手法

複数の説明変数によるデータ分析 (多変量解析) ページでは、本手法を含む10種類の多変量解析手法の概要と比較をご覧いただけます。

下のアプリでは、入力されたデータの目的変数・説明変数のタイプを自動判定し、適用可能な統計手法をすべて提示します。 そのため、本ページの手法以外の結果も表示されることがあります。これは同じデータ設定で複数の分析を比較検討できる仕組みです。

アプリ

入力されたデータの目的変数・説明変数のタイプを自動判定し、適用可能な統計手法をすべて提示します。 これは同じデータ設定で複数の分析を比較検討できる仕組みです。

{{calledFromSubPage? '本アプリで統合的に実行可能な': ''}}分析法の特徴一覧

手法 英語名 目的変数のタイプ 説明変数のタイプ 特徴 Wikipedia
{{ method.japaneseName }} {{ method.englishName }} {{ method.dependentVariableType }} {{ method.independentVariableType }} {{ method.characteristic }}

データ

設定

{{ column }}