対応のある3群以上のカテゴリカルデータの分析

以前は 対応のある3群以上の比率の比較 (Cochran Q 検定) のタイトルでしたが機能拡張に伴い変更しました
Cochran Q検定, Bowker検定, Stuart-Maxwell検定

解説

概要

このアプリケーションは、3つ以上の関連するカテゴリカルデータの分析を行います。 選択された値の数に応じて、以下の検定方法を自動的に適用します。

  • Cochran Q検定: 2値データ (例: 陽性/陰性) の場合
  • Bowker検定/Stuart-Maxwell検定: 3値以上のカテゴリカルデータの場合

Cochran Q検定 (2値データ)

Cochran Q検定は、3つ以上の関連する二項変数(例: 陽性/陰性, 有効/無効)の間の差異を評価するための統計手法です。 この検定は、同じサンプル群に対して異なる条件や時点での測定が行われた際の前後の変化を調査するのに特に適しています。

検定対象

医学研究において、ある疾患や状態の診断をする際の様々な診断方法の精度や感度を比較する場面が存在します。 このとき、複数の診断方法が同じサンプルに対してどれだけ一致するのか、またどの診断方法が最も信頼性が高いのかを知りたい場合に用います。

その他、様々な分野で関連する二項変数間の差異を調べるのに使用できます。

具体例

ある疾患の診断を行うための3つの異なる診断方法A、B、Cが存在するとします。 同じ患者グループの100人を対象に、これら3つの診断方法で疾患の有無を診断します。

Cochran Q 検定では、各患者について3つの診断方法それぞれの結果 (陽性/陰性) を記録した個別データから、3つの診断方法の診断能力に差異があるのかどうかを評価します。

例えば以下のような個別データが必要です。

患者ID 診断A 診断B 診断C
1 陽性 陽性 陰性
2 陰性 陽性 陽性
3 陽性 陽性 陽性

なお、以下のような集計結果だけからは、検定を実施することはできません。

  • 診断方法A:陽性 40人、陰性 60人
  • 診断方法B:陽性 45人、陰性 55人
  • 診断方法C:陽性 42人、陰性 58人

この検定の仮説は以下の通りです。

  • 帰無仮説 (H0): 3つの診断方法間に有意な差異はない。
  • 対立仮説 (H1): 少なくとも1つの診断方法が他の方法と異なる結果を示す。

検定では、Q値を計算し、カイ二乗分布を用いて統計的に評価します。 計算されたQ値と対応するカイ二乗分布のp値を比較して、帰無仮説を受け入れるか、対立仮説を受け入れるかを決定します。

注意点

Cochran Q検定は、マッチしたペアまたは反復測定が行われる場合にのみ適用されます。 独立した2つのサンプルに対しては使用できません。

また、検定の統計的パワーは、比率の差が小さい場合やサンプルサイズが小さい場合には低下する可能性があります。

Reactive stat の特徴

多くの統計パッケージでは、データの値は 0, 1 しか受け付けないので、事前にそのようにデータを変換しておく必要があり、意外と敷居が高いものです。 また、例えば 陽性/陰性, 有効/無効 ではなく「不明」が一つでもあると扱うことができなくなります。

しかし、Reactive stat では、0/1 以外のカテゴリー変数であってもそのまま処理できますし、「不明」などを自動的に除去することができます。 事前準備がほぼ必要ありませんので、手軽に検定することが可能です。

Bowker検定 / Stuart-Maxwell検定 (3値以上)

Bowker検定と Stuart-Maxwell検定の解説は、対応のある分割表の説明ページ を参照してください。

これを3群以上に適用するため、組み合わせ (A, B, C の3群であれば A-B, A-C, B-C) の各々に検定を行い、得られた p値に対して多重比較の補正を行います。

データ

設定

検定に用いる値を2つ以上選択してください
2値を選択するとCochran Q検定、3値以上を選択すると Bowker検定にて分析されます