確認的因子分析 (CFA)

解説

確認的因子分析とは

確認的因子分析 (Confirmatory Factor Analysis; CFA) は、研究者が事前に仮定した因子構造が実際のデータに適合するかを統計的に検証する手法です。探索的因子分析(EFA)とは異なり、理論に基づいた仮説検証型のアプローチです。

主な用途:

  • 心理尺度や質問紙の構成概念妥当性の検証
  • 測定モデルの適合度評価
  • 因子構造の理論的妥当性の確認
  • 測定不変性の検討

本アプリでサポートする4つのモデルタイプ

モデルタイプ 特徴 適用場面 注意点
基本CFA 因子間相関を自由推定 一般的な因子構造の検証 最も標準的なモデル
直交因子モデル 因子間相関を0に固定 因子の独立性を仮定 より制約の強いモデル
階層因子モデル 1次因子の上位に高次因子 一般知能、高次性格特性 高次因子には3因子以上推奨
双因子モデル 一般因子+特定因子 一般能力と特定能力の分離 最低6変数、各特定因子2変数以上

適合度指標と判定基準

指標 良好な適合 許容可能 意味
CFI ≥ 0.95 ≥ 0.90 比較適合度指標
TLI ≥ 0.95 ≥ 0.90 タッカー・ルイス指標
RMSEA < 0.06 < 0.08 近似誤差平方根
SRMR < 0.08 < 0.10 標準化残差平方根平均

因子負荷量の解釈

負荷量 関連の強さ 解釈
≥ 0.7 強い関連 理想的な水準
0.5 - 0.69 中程度の関連 許容可能
0.3 - 0.49 弱い関連 要検討
< 0.3 関連なし 除外を検討

データ要件と推奨事項

サンプルサイズの目安

分析の種類 最低限 推奨 理想
基本CFA 200件 300件 変数数×10倍
複雑なモデル 300件 500件 変数数×15倍

変数数の要件

  • 各因子: 3つ以上の変数を推奨
  • 理由: 因子の識別と安定した推定のため
  • 注意: 2つの変数では因子が過度に決定されます

データの性質

  • 変数タイプ: 連続変数・順序変数 (リッカート尺度も含む)
  • 欠損値: 完全なデータが必要 (欠損値のある行は自動除外)
  • 分布: 正規分布に近いことが望ましい

推定方法

本アプリでは最尤法 (ML: Maximum Likelihood) を使用します。

MLの特徴:

  • 最も一般的で標準的な推定方法
  • 連続変数・順序変数の両方に適用可能
  • 計算速度が高速で実用的
  • 標準誤差と適合度指標が安定
  • リッカート尺度等の順序データも適切に処理

MLは理論的に確立された手法で、ほとんどのCFA研究で使用されており、信頼性の高い結果が得られます。

結果の解釈と改善

適合度が不良な場合の対処

  1. 修正指数の確認: MI > 3.84の項目を検討
  2. 理論的妥当性の検討: 統計的改善と理論的意味の両立
  3. モデルの再考: 必要に応じてモデル構造の見直し

修正指数の判定基準

MI値 有意水準 解釈
> 10.83 p < 0.001 非常に高度に有意
> 6.63 p < 0.01 高度に有意
> 3.84 p < 0.05 統計的に有意

注意事項

  • 修正指数は参考程度に留め、理論的根拠を重視
  • 過度なモデル修正は避ける (Type I エラーの増加)
  • 独立したサンプルでの再現性確認を推奨

データ

設定

モデルタイプ

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