計算時間が問題にならなければ常にFisherの正確確率検定はカイ二乗検定よりも精度が高いと考えられます。 しかし、サンプルサイズが大きく、期待度数が十分にある場合には、カイ二乗検定でも十分な精度が得られます。
また、Fisherの正確確率検定は、周辺度数を固定した条件付き検定であるため、可能な配置の組み合わせが制限され、実際の有意水準が名目上の有意水準より小さくなりやすい傾向があります。 すなわち、第一種の過誤 (偽陽性) の確率が低く抑えられる一方で、第二種の過誤 (偽陰性) の確率が増加する傾向があり、実際には差があるケースでも「差がない」と判断してしまう可能性が高くなります。
どちらの検定を選ぶかは、データの大きさと研究の目的に応じて判断するのがよいでしょう。
2つのカテゴリー間(例えば、成功と失敗)の比率に順序的な傾向が存在するかを評価します。
2 x k もしくは k x 2 (k >=3) の列連関表を使用し、例えば、薬の投与量 (低用量、中用量、高用量) と治療の成功率との間に関連性があるかを検討します。
行と列の両方に順序がある場合には、Spearmanの順位相関係数、Kendallの順位相関係数、線形併合カイ二乗検定、Goodman-Kruskalのガンマ係数 にて分析を行うことができます。
2つの順序変数間の単調な関係の強さを測定します。
2つの順序変数間の一致度を測定します。
行と列の変数間の線形関係の有無を検定します。
線形-線形関連性検定 (Linear-by-Linear Association Test) とも表現されます。
この検定は、順序変数を扱う際に有用な手法です。例えば、治療法の効果と症状の重症度の関係を調べるような場合に使えます。
2つの順序変数の間の順位の一致度を評価します。具体的には、2つの変数がどの程度一貫して順位付けされているかを示します。 ガンマは -1 から +1 の値を取ります
これらの方法は、カテゴリ間の順序を考慮するため、通常のカイ二乗検定よりも検出力が高くなる可能性があります。
分割表が 1×2 または 2×1 になる場合は、確率=0.5 とした二項検定を行います。 二項分布は、同じ条件で何回も試行を繰り返したとき、特定の結果(成功)が起こる回数を予測するものです。
二項分布の特徴:
2 x 2 分割表にて有意差がない場合、検出力やサンプルサイズを計算してみると解釈が容易となることがあります。 すなわち、症例数が足りないから有意差が出ないのか、本当に差が無い可能性が高いのかを考える上で有用です。 ただし、「足りないからあと少し症例を追加して解析をやり直す」ことは適切でないとされています。